見過ごしている、ケタ違いの成長軌道のポイント

平凡な会社をケタ違いの成長軌道に乗せる経営で重要ポイント以下2点について考え方、エッセンスとそれを見出した出来事ともにお伝えします。

19.「一貫性経営のすすめ」

北関東圏のS社ディーラーの役員Nさんから依頼を受け、人事評価制度の見直しと管理職研修を行いました。通常はお受けしていない内容の依頼でしたが大変お世話になっている方が間に入っていたのでNOとは言えませんでした。

人事評価制度は大手コンサルティング会社が人事制度の担当者を支援する形で進められ、10か月後に完成し、導入してから3年が経過していました。

Nさんは3年たっても全然浸透していない、形だけで誰もピンと来ていないと社内の反応に不満を持っていました。

私はNさんに頼んで人事制度担当者に加えて、教育・研修担当と総務部の経営企画担当者も呼んでいただき、いろいろ話を伺いました。

結論から言いますと、人事評価制度に影響する、経営計画と教育・研修制度がそれぞれ専門のコンサルタントの支援を受け、繋がりが図られることなく、別々に作られそれらしく運用していたのです。


S社には立派な経営理念、将来を見据えた経営ビジョンがあり、それらは経営計画、人事評価制度、教育・研修制度の指針となりベースとなるべく周知され・掲げられ・唱和されています。

経営理念の実現、未来のありたい自社の姿、育成したい人財、評価されるべき頑張りと成果、それらは魅力的でワクワクするロングスパンの視点として制度・仕組に組み込み・盛り込まれるはずです。

ところが実際の運用段階になるとロングスパンはぷつんと切られてしまいます。経営ビジョンを指針にして策定されるべき経営計画は「前年よりも」が主体になり、時間かけてでも育成すべき人物と評価される人物は「全くの別人」状態。教育・研修は流行りのテーマを追っている。仕組みどうしのヨコの繋がりぷつんと切れているのです。

社員から見ればそれぞれの制度・仕組が一貫性のない別物に映ります。経営ビジョンは絵に描いた餅で、経営目標は来期も今期と同じ、生産性向上と収益確保が最優先、人事評価の項目も似たりよったりですから、目先・目先に慣らされて仕事と会社の中に自分の未来が描けません。

S社は典型的な仕組み・制度が「バラバラ状態」でしたから人事評価制度は「3年たっても浸透」しないはずですし、それを修正しなければこれから何年たっても浸透するはずがないのです。 

Nさんからは6か月後の定期昇給に間に合わせたいとの依頼でしたので応急処置的な対策を講ずるに留めました。そして、この後Nさんがリーダーとなって、連携発想がなかった3人の担当者と一緒に仕組・制度の一貫性を図るようにお願いしました。

 

一つ一つは立派な仕組み・制度であっても「これはこれ、それはそれ」で一貫性がなかったら、役割・機能は相乗効果を発揮しません。それどころか社員は仕組みと制度の迷路に迷い込んでしまいます。

未来志向で経営ビジョンを実現していこうといくら言っても「言行不一致」、求められるのが短期的な取り組みや目先の成果では思考停止になってしまいます。

 

社員にどう映るか、現在と未来はどうつながって、仕組みと制度はどう影響し合うのか。タテ(経営理念→中期経営計画→今期経営計画)とヨコ(複数存在し機能する社内の制度・活動・仕組み)の整合性を図る。

社員が会社の中で成長し活躍する自分の未来を描けるか、それを会社はどう応援し同時に評価するのか。社員が会社(社長)の想いと意図を理解でき、自分で考え自主的に行動できるように、整合性・一貫性を図ることが大事だと考えます。