見過ごしている、ケタ違いの成長軌道のポイント

平凡な会社をケタ違いの成長軌道に乗せる経営で重要ポイント以下2点について考え方、エッセンスとそれを見出した出来事ともにお伝えします。

22.「自分の仕事に“戦略的”を付けたなら」

今回は「戦略的」という言葉には、人の潜在意識に働きかけ思わぬ発想を引き出す力があることをお話ししたいと思います。


関東圏の地方都市にある製造業の管理職を中心とした会議(社長も参加)での出来事です。理念深耕、うちの会社の「事業の本質的な価値」は何かを深堀りしてみようということになりました。

ベテランの工場長が「うちはNCによるものづくりの会社だから、お客様の要望を受けて、いいものを安く作ることでしょう。当たり前なことです。」と言い切りました。ところが社長は不満そうに首をかしげて「それじゃあ戦略的じゃないなぁ」とケチをつけた形になりました。すると今度は工場長が「社長、戦略的ってどういう意味ですか、分かって言っているのですか」と反撃に出ました。

経営用語として当たり前のように使われている「戦略的」ですが、正確に解説できる人は少ないと思います。若い管理職がスマホで意味を調べようとしている時に社長がユニークな提案をしました。「意味なんかどうだっていいからさぁ【普通の・・・と戦略的な・・・】で比較してみよう」ということで、言い出しっぺの社長が事例をあげました。

普通の焼き芋屋戦略的な焼き芋屋の違いは何か。」

普通の焼き芋屋はコースや時間を考えないで回っているだけ。戦略的な焼き芋屋は時間とコースと芋を変える。関連商品も売る。例えば昼時は庶民的な団地で普通の焼き芋を売る。買う人はそれをお昼ごはん替わりに食べる。3時頃は閑静な一戸建ての住宅地にスイーツとして甘い安納芋を売る。珍しいコーヒー豆も紅茶もセットで売る。

これを聴いていた他の管理職も色々思いついたらしく面白そうなアイディアがあふれ出てきました。その勢いが止まらないうちに話を本題へと切り換えて「自社の事業に戦略的をつけたら」と投げかけたところ、ポツポツではありましたが少し次元が変わったと感じさせる意見が出てきました。

 

この時の展開が実に良かったので、別の会社でも同じような対話の場面を作りました。西日本の大都市に所在する会社です。会議の参加者に「普通の・・・と戦略的・・・」という視点で意見を出し合ってもらおうと「普通の焼き芋屋と戦略的な焼き芋屋の違いは何だと思いますか」と投げかけました。

「焼き芋屋って何ですか」と意外な質問が来ました。それなら「豆腐屋」ではどうですかと聞き直したところ、豆腐はスーパーでしょと言われてしまいました。

結局「普通のタクシードライバーと戦略的なタクシードライバー」で意見を出し合い、その流れで「普通の営業部・普通の総務部と戦略的な営業部・総務部」へと話しを展開しました。どこの会社にも営業部もあれば総務部もあるけれどやることは違う、同じじゃない、それならどう違うのかという話に発展していきました。

結論はまだ出ていませんが職種的な部署名に何の疑問を持たなかったことに疑問を持つ大きなきっかけとなり、部署としての他社との差別化を考えるようになりました。

 

普通の・・・と戦略的な・・・、これを事業・部署・役職に付けてみる。それは戦略的とは何といった正確な説明がなくても肌感覚で伝わってきます。ぜひ自社にご自身に戦略的の「問い」を向けてみてはいかがでしょうか。新たな発想があふれ出るかもしれません。