見過ごしている、ケタ違いの成長軌道のポイント

平凡な会社をケタ違いの成長軌道に乗せる経営で重要ポイント以下2点について考え方、エッセンスとそれを見出した出来事ともにお伝えします。

4.社員の成長も企業の差別化も「日常業務」から

●いざと言う時に、その人の本性が出る。いざと言う時の社員の「仕事力」は日常業務で鍛錬し培う

◎どんな高性能のジェット機でも月には行けないが、日常業務を極めれば延長線上に自然な流れで「新」技術、商品、サービスが発芽する


司馬遼太郎の坂の上の雲の一節に、戦場の異常・非常な状態、追い詰められた時に出てくるゆるぎない人間性や能力は「日常」において培われる、というニュアンスの一節があったと記憶しています。

外に出て、或いは人前でよそ行きの顔と態度を装っても、日々の生き方がいざと言う時に言葉や些細なしぐさや行為に出てしまう。

「やるときはやる男ですから」と言っている人に限って一番先に泣き言を言うし、弱そうに見えてだれよりも過酷な事態の時に踏ん張る人もいる。

「社員が財産、社員満足最優先」と社内に掲示しHPにも公表しているけれど、少しも社員が定着せず、機械・設備やITシステム程には人財育成に投資をしない会社もあります。それはその人(社長)の日常の表れ「言行一致」かどうかの問題のような気がします。

火事場の馬鹿力は命がけの絶体絶命の時にしか出ませんが、馬鹿力にも個人差があり、日頃からスポーツで体を鍛えていた人と何もしていなかった人では持ちあげられる重さは10倍違うかも知れません。強制されて出す力は自分から出す力よりも圧倒的に消耗度が激しいです。

 

フルマラソンで42.195キロを制限時間内で完走するには、大会前に少なくとも500キロくらいは走り込んでいないと無理です。500キロは大変長い距離ですから、数カ月かけ故障しないで走切るには、日々のストレッチと段階を踏んだトレーニングの積み重ねしかありません。

フルマラソンはテレビで観戦するものとしか思わなかった普通の人が一念発起して、日常の中にジョギングを組み込むことで完走できるようになっています。中学・高校・大学で帰宅部だった私もそうですし、私の会社のスタッフにもフルマラソン完走者が数人います。それくらい「日常」には不可能を可能にする力があるのです。

中小企業の経営も同じことが言えます。特別な技術、特別な受注、他社の真似のできない差別化、競争優位獲得を大上段に構えて、特別な時間や場や手段を駆使するよりも、日常業務の中から創造するのが最も効率が良いのです。

だだ、目先の仕事をこなすだけの日常業務ではなく、色々な要素・要因・機会を組み込んだ「戦略的日常業務」を検討し、構築することが重要です。

いつもと変わりない今日一日の業務の中に、本当に何もなかったのか、本当に春の小川のようにサラサラいった一日だったのか。

何もない、何も感じない一日にしてしまうのは、会社の中にそうなってしまう仕組みが存在するのではないか。何かを生み出す仕組みがあるのと同様に何も生み出さない仕組みもあるのです。

例えば、『作業日報、運行日報、介護日報も法律で定められた要件を義務的に満たす、やらされ感で毎日面倒だと愚痴を言いながら書く』という仕組み。一方、『社員の頑張った事や褒めるネタを探すため、仕事のレベルや指導ポイントを正確に情報収集し指導に活かすため書いてもらう』という仕組み。同じようなものでも目的や意義に違いが出ます。

業務マニュアルも目的によって大きく異なります。『手順書・説明書の機能重視で覚えたら見る価値がなくなるマニュアル』という仕組み。一方、『常にマニュアルから学び、日々の気づきをマニュアルにフィードバックし鮮度を維持するマニュアル』という仕組み。同じマニュアルでも目的・意義と使い方、そして価値と成果が全く違います。

どんなに高性能のジェット機でも月には行けない。月に行くためにはロケットでないとねと言って、現在の業務の延長線上に改革はない、思い切って変えないと会社の明日はないと断言した人がいました。しかし、現在の業務の延長線を極めて行けば、それまでとは別次元の何かが見えてくるし、その方が現実的です。

中小企業は社長でさえ現場の第一線で頑張っているのですから、現状打破も未来への布石作りも、それに投入できる社長の時間や工数は全然足りないはずです。

一気にではなく、社員全員がそれぞれの分野・それぞれの日々の仕事の中から、少しの気づき、少しの変化、少しの改善、少しの実験、少しの挑戦をするのです。 それが出来る仕組みを作って、継続し蓄積し、少しどうしが化学変化を起こして別ものを創造する、それを積み重ねるのです。

今でも社員は精いっぱいな状態でこれ以上負荷を掛けたらパンクしてしまうか辞めてしまうと心配になりますが、本当はそうではないのです。社員は何も変わらない仕事と会社と自分の未来が透けて見える方が辛いのです。未来に向けての負荷は遣り甲斐に変わるし、少しの改善や変化の積み重ねは生産性を向上させるので、新しいことへの負荷は単純な上乗せにはならず、掛けた工数を上回る成果が必ず出る日が来るのです。