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「自主管理経営」開発物語

私たちが独自に考案した「自主管理経営」という経営の仕組みは、実際のところ、体系化されるまでには多くの経営者の方々にご協力いただきました。支援先企業の経営者との共同開発のようなもので、試行錯誤の過程の中から生まれた知恵をつなぎ合わせて仕組みにしてきたというのが正直な所です。

以前の私たちのコンサルティングの中心は、経営戦略の再構築、中期経営計画の策定及び経営計画促進会議の進行支援、いわゆる「PDCA支援」でしたが、なかなか思った通りには行かないケースもありました。

立てた戦略・計画がまずかった、的外れだった、競合より劣っていたというのではなくそれ以前の段階での話。「やれませんでした、やりませんでした」という不実行の大きな壁に阻まれていました。

経営計画への取り組みは仕事ではない、中期経営計画は絵に描いた餅

経営計画進捗会議での管理職の発言は「仕事が忙しくできませんでした、時間がありませんでした」が多く、私が「これも仕事でしょう、時間は作るものでしよう」と言うと「だったら大口の商談を逃してもいいんですか、責任とってくれるんですか?」と返されてしまう。

計画策定段階では、あれほど前向きで明るく雄弁に取り組んでくれていた人たちが実行段階では言い訳ばかりで自責の念はみじんもありません。

「自主管理経営」開発のきっかけ

ある日、支援先から「ゴルフコンペ」の参加のお誘いを受けた。私はゴルフはやった事がなかったので、これをきっかけにやってみようと思い参加することにしました。

ゴルフ当日、朝4時に起き、外を見たら雨が降っていました。11月の下旬だったので冷たい雨。これでは当然中止だろうと思い、一応誘ってくれた部長に電話をした。「今日はゴルフ中止ですよね」と言ったら、「何言っているんですか、やりますよ。ゴルフは雷と雪以外はやるんです」と言われ、そうなのかと気を取り直して、真っ暗の雨の中を車で走ること約1時間半、埼玉県の山の中にある難コースに到着。

スタート場所にはレインウエアを着た20数名の黒い影、3分の2はこの会社の取引先の経営者で残りが社内の管理職でした。全員での平均年齢は恐らく50代、決して若いとは言えません。
気温は低くかなり寒く、少し霧かがったコースに向かってドライバーがしなります。キーンとスライスしてボールは林に消えます。フェアウェイキープも簡単ではありません。グリーンでは水しぶきをあげながらゴルフボールが転がり、既に靴の中は靴下までびっしょりと濡れています。それでも皆さん夢中になっていらっしゃる。

“「楽しそうだ、一打一打に傾ける情熱と気迫は凄すぎる!遊びやスポーツの域を超えている!」”

“会議室とは、別人のような生き生きとした姿です。これは一体何なのでしょう?”

この日のためにどれくらいの時間とお金を掛けてきたのだろう?数枚は用意している片方だけの手袋はどれも黒く汚れています。

何より、進捗会議で言い訳ばかりしている部長のドライバーの飛距離と正確さは何だ。それにひきかえ私は悲惨すぎます。皆さんとは異なる道筋の「山岳民族」です。孤独さとプレー遅延責任の重圧で精神的にもくたくたでした。もう二度とやるものかと心に誓いました。(今も続けていますが・・・)

“終わった後のお風呂の中で「なんでこんなに過酷で時間もお金もかかるのに皆さん、ゴルフするのですか?」と尋ねましたら、答えは単純明快「好きだからでしょ」でした。”

ある日突然「好きなこと」ができれば人は劇的に変わる!

人は恐らく誰でも「好きなこと」には無条件でやる気の調節弁を全開にします。大変な時間もお金もかけて、大した見返りは求めません。しかも、その「好きなこと」は昔から「好きなこと」では無かったとしても、あるキッカケで芽生えることがあるのです。

  • マラソンが好きな人は「42.195キロ」を完走するために、月に200キロ以上を何か月も前から走破して練習に励んだりします。
    (昔から運動好きだったわけではないのに)
  • 小説が好きな人は一年間で300冊の本を読んだり、図書館、本屋、ブックオフでの時間も楽しみます。
    (昔は勉強嫌いで教科書も大して読まなかった人なのに)
  • 家庭菜園が好きな人は農家顔負けの見事な野菜を都会の真ん中で収穫します。
    (本来気短で、気長な取り組みや手間をかけての人育てが苦手な人なのに)
  • 頑固で人の話を一切聞かない、ある製造業の専務が魚釣りの情報にはニコニコしながら会話に加わり、「良いお話をありがとう」とお礼の一言に驚かされます。
    (この素直さと別人のような可愛げな笑顔は何なのでしょう。)
  • 自分はアナログ人間だからと会社でパソコンに触れようとせず、なんでも女子社員をあてにする社長が自宅でエクセルを使って「フェアウェイキープ率とか、パーオン率」とかを分析してきます。
    (あれほど嫌がっていたパソコンをいつ買って、どうやって表計算マスターしたのでしょうか。)

「好きなこと」と同じくらい仕事を好きになる!

  • その人は、そのことが初めから好きだったのか?
  • その人がそのことを好きになったのはある日突然か?
  • 好きなことは楽しいことばかりで、頑張ったら頑張った分だけ報われるのか?

そんなことはあり得ません。なのになぜ、大会やコンペ当日の何百倍も、地味で過酷な過程(練習)さえも楽しめるのでしょう。
いつから、どうやって、何がきっかけで、誰の影響で…尽きない疑問が押し寄せました。

そして、ひとつの答えにたどり着きました。

  • 人が好きになることには、好きになる要素がある。
  • 人が好きなことを好きになるまでには、共通するプロセスと条件がある。
  • 人が何かを好きになる時は必ず影響を受ける誰かとの出会いがある。
  • 人が好きなことがより好きになるには競争相手、その時間を分かち合える仲間の存在が大きい。

こういった要素は「仕事」の中にもありますし、上達のプロセスにも大差はありません。

働き方改革ということで、どうすれば早く帰れるか、どうやって生産性を向上させるかという取り組みが注目されていますが、「やらされ感」を内在したままでの取り組みでは、社員にとっての「仕事」の価値を低めてしまうことになりかねません。

仕事をする時間を短くして、プライベートで好きなことをやり人生を充実させることに時間を費やすことが本当のワークライフバランスなのでしょうか?

子供や両親の世話のための時間をもっと確保しようということには賛成しますが、仕事が面白くて、楽しくて仕方ない人たちにとっては「仕事時間」が好きな時間であり、充実した時間だし、仕事時間が充実しているから余暇時間も楽しむことができるのです。

仕事が面白い、楽しくて仕方ない人たちにとっては、仕事は探求・挑戦・創意工夫の対象ですので、常により短い時間で成果を出そうとしますし、余分な時間を掛けたりはしません。

あっという間に過ぎる時間を惜しむように仕事をして、笑顔で一日を終える。このように「仕事が面白い、楽しくて仕方ない」と思うことができない人は、そういう風に考えることや、そのように仕事をさせてもらえなかっただけではなかったのかと思います。

いつも急かされ、常に結果だけを求められて、崖っぷちに立たされているような「やらされ感」の中で仕事をしており、外発的なインセンティブばかりが押し付けられているようでは好きな仕事も嫌になりますし、そういう会社も嫌になります。誰だってそうだと思います。

もっと「人」のことを素直に考え、どうしたら仕事が面白くなるか、楽しくなるか、好きになるか。それはどれだけ趣味、スポーツや遊びと同じように夢中にできるのか。

韓非子を知りつつ論語で行こう。そんな発想・思いから「自主管理経営」が生まれ、導入企業の実績・成果を裏付けとしながら、今も更なるノウハウを蓄積しています。

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